花子は今日も書く

書かないと死んでしまう。人生からくだらない毎日まで、徒然なるままに

02 性への嫌悪

ある日、学校から帰ると小さな家に知らない男がいた。
母はなんでもないことのように、男を花子と弟に紹介した。

そして事件は夜に起きた。

当時住んでいた家は、リビングと1部屋が隣り合っているだけで、リビングには何故か母が持ってきたダブルベッドで埋まっていた(今思っても、どうしてあんなに狭い家にダブルベッドを持ち込んだのか分からない)花子と弟は、和室の1部屋で眠り、母はいつも1人でダブルベッドで眠っていた。

ところが、その日は例の男がいた。
夜中に目が覚めると、うすい壁を挟んでベッドのスプリングが軋む音と母の喘ぎ声が聞こえてきた。性というものをまだ知ったばかりの12歳にとって、母が父以外の知らない男と性交渉をしているだけでも受け入れがたいものだったが、それが聞こえてくるという苦痛はひどいものだった。しかもそれは1度ではなかった。花子はその何時間にも思える音に泣きながら、弟が起きてしまわないか心配だった。自分と同じ思いをさせてはいけないと、花子は弟に頭から毛布を被せて、泣きながらその時間をやり過ごした。母はもう、母ではなかった。

そして翌日、弟を連れて花子は家出をした。


●家出、その後

家出をした先は祖母の家だった。
色々あって、母は花子と弟を連れ戻した。母は怒っていた。

なぜそんなことをしたのかと。

花子は涙ながらに、夜の出来事を話した。
母も泣いた。
「ごめんね、ごめんね」とさめざめと泣いた。

分かり合えたと思った。母を赦そうと思った。

それから1週間後。
また違う知らない男がやってきた。


花子は、絶望した。
それから、また家出をした。母の姿を見ると、吐き気を催すようになった。(続く)